世界規模で競争を続けるレーシングカーの開発チームをご存じだろうか。その団体の名は KART。我々Chot★Betterは、彼らの活動の様子や、レーシングカーに懸ける思いを探るべく、開発を行っている工場へと赴いた。そこには、より良いレーシングカーを開発しようとエ場で日夜ものづくりに励む姿があった。

KARTとは

京都大学の学生により組織されたレーシングチーム。主にフォーミュラカーと呼ばれる小型レーシングカーを製作している。各大学のチームが自作フォーミュラカーを持ち込む学生フォーミュラ大会に参戦しており、そこでは走行性能だけでなく、実際のものづくりの現場で行われるマーケティング、企画、設計、製造、コスト管理等、ものづくりの総合力が世界規模で競われる。過去には優勝経験もあり、多方面で活躍している。多くの企業がスポンサーとしてついており、車両の設計や製作、走行のみならず、渉外、広報、会計処理、チームマネジメントに至る全ての業務を学生自らの手で行なっている。

学生では世界初の技術を搭載

▼ツインシャシ

車体を地面に押し付ける力を生む空力部品をタイヤ内側から直接吊り下げたプライマリシャシと、ドライバーやエンジンがのり車両の主要構造となるセカンダリシャシとで構成されるツインシャシと呼ばれる構造の車両を2015年に開発した。車体を地面に押し付ける力を旋回中でも一定で得られ、旋回速度が向上する。2018年車両は完全なツインシャシではないものの、その思想を受け継いだ設計となった。

▼シームレストランスミッション
マニュアル車の運転時、クラッチを踏んでギアチェンジを行う際に駆動力が途絶え加速できなくなってしまう事態を防ぐために取り入れられたシステム。これによって、より多くの時間を加速に充てることができるシステムで、2017年に開発された。

フォーミュラに懸ける想い

Q.何人で活動しているのですか?
A.現在15人で活動していて、他団体よりは比較的小規模です。それでもそれぞれの担当分野、得意分野に応じて作業を分担し、効率よく進めています。少人数ではありますが、それ故に全員が作業工程の全体像を把握することができ、それが今の強みにもなっています。

Q.フォーミュラカー製作で感動するところや面白いところはありますか?
A.パソコン上で設計したものを実際に製作してきれいに仕上げ、それが想定通りに機能することを走行などで確かめることは、簡単で当たり前のことのように思えて実はとても大変なことなので、それがうまくできたときはとても嬉しいです。車両完成の時や車両が走行を経て速くなっていくのを見る時の大きな喜びはものづくりの醍醐味だと思います。

Q.京大生チームの特徴やこだわりはありますか?
A.新しいことに挑戦することが伝統のようになっています。スポンサー企業のご協力のもとで開発したシームレストランスミッションはその企業の特許技術を搭載しておりそれを学生フォーミュラで使うような一般のバイク用エンジンに搭載するのは学生界のみならず世界初の試みでもありました。

Q.チームとしての目標はなんですか?
A.何よりも学生フォーミュラ大会での総合優勝ですね。優勝祈願のために晴明神社へお祈りに行って神社のステッカーを車体に貼ったりもしています(笑)

Q.新入生に伝えたいことはありますか?
A.自分達の好きなことや新しいことに自由に挑戦し、そのためのものを自分達で設計・製作し操作・評価までできるのは大学生の間だけかもしれません。KARTにはその環境がそろっています。「世界初」も夢ではありません。興味のある人はぜひ一緒に活動しましょう!

富樫明寛 KART3回