立教大学服飾デザイン研究会に「工事現場での作業服」というテーマのもとデザイン画を描いてもらい、それを村本建設株式会社の齊藤さんに見ていただきました。建設という壮大なものづくりとそれを支えるものづくりがあることを、我々Seel編集部も再確認するきっかけになりました。読者の皆さんも、ものづくりの奥深さとそれを作る方たちの情熱を感じてみてください。
What's FDL?
立教大学服飾デザイン研究会はFDL(Fashion Design Lab)と呼ばれ、服を売るためではなく1つの世界観としてのファッションショーを作るサークル。ファッションショーでは毎回異なるテーマを設定し、服のデザインや製作、音楽や映像などの演出まで自ら手掛けています。
Designer's Comment
ビスを取り出しやすいポケット、鉛筆の収納、ズボン裾の自由度、足首のゴムは横にマジックテープがしまえるポケットが付いているなど、機能性を重視したデザインにしました。全体のカラーは暗めのグレーで、ポケットやジップ、調節ゴムはグリーンのイメージです。服飾デザイン研究会での活動や工事現場でのアルバイトから、インスピレーションを受けました。
Seel×村本建設株式会社×FDL

村本建設 人事部 齊藤嘉行さん
デザイン画をご覧になった率直な感想を教えてください。
職人さんのかゆいところに手が届くデザインだなと思いました。作業服はやっぱり機能性が大事なんですよね。たとえばポケットが多いとか、屈んだときに落ちないようにベロがついているとか。そういう点は網羅されていると思います。
私たちにとってあまり親しみのない作業服ですが、どのような工夫がされているのでしょうか。
うちの作業服でいうと素材が耐火性のものになっていたり、暗いところでもわかるように蛍光反射がついていたりします。あとは村本ブルーというコーポレートカラーを使っていたり、ズボンは透けてしまわないような素材にしたり、色を濃くして汚れを目立たないようにしたりしています。
すごく多機能ですね。いただいたデザイン画と実際の作業服を比べてどこか新しいところはありますか。
ズボンのフックですね。職人さんは現場で仕事をするとき、足場などいろいろなものがあるので、裾がひらひらしていないほうが、歩いていて引っかからないのでいいんですよ。こういう絞れるズボン、よくジャージで見るけど建設業界にもあったらいいなと感じました。

齊藤さんが思うものづくりの楽しさややりがいを教えてください。
ものづくりにはいろいろあるけど、建設業界はスケールの大きいものが作れるので、社会貢献と人の心に残る建造物を作れることにやりがいを感じます。僕は本当にうちの会社にいてよかったなと思います。チームの一員としてものづくりに携われた。だから建築に対しての知識がすごく増えて、生活にも役立っています。建設は生活に直結する仕事だと思うので、プライベートな面でも役立つ場がありますね。
「衣食住」の「住」ですもんね。
そう言われるんだけど「衣」と「食」にも大きく関与しているからすべての業界に通じるんです。たとえば洋服や食品を作る工場であったり輸送する道路であったり、それらはすべて建設業が施工します。なので衣・食・住すべてに関わる職業だと僕は思っています。建設現場は基本的にアナログだから人が必要なんです。機械化が進んでいるけど、できないこともありますから。この業種の良さを学生に伝えるのが人事部としての僕の役割だと思っています。
それでは最後に、ものづくりをしている大学生に向けてメッセージをお願いします。
興味がある、好きだということに対しては最後まで突きつめていってほしい。そうやって知識を得た上でずっとやっていけるような仕事を見つけられるならそれが一番いいのかなと思います。学生時代に培ったものを活かした就職先が必ずあるはずです。今やっているものづくりがすべてではなくて、それを応用してください。そうすればいろんな可能性があると思うので、幅広い視野を持ってものづくりに携わっていってほしいです。