ー 現在行なっている工事について教えてください。
東京の中野通りというところで工事をしています。道路の拡幅事業に伴い、道路下に埋まっている古い下水道管を撤去し新しい下水道管を布設する工事です。交通量が多い地域なので通行止めができず、夜の10時から朝の6時まで片側を交互に封鎖して行なっています。今回の工事はそういった都市土木ならではの難しさがあるので、この現場では所長としてそこに配慮したマネジメントを心がけております。
ー 「都市土木ならではの難しさ」について詳しくお聞かせください。
今回のような夜間工事というのは、道路の使用許可の関係で時間通りに作業を終了させなければならず、現在の工事の場合は朝6時には絶対に終わらせないといけません。
そのため基本的には余裕をもって計画を立てるのですが、想定外のことが起こる可能性もあります。工程に遅れが出ると作業が切迫してしまうので、終業時には現場の職員や職人はかなり疲れていることが多いです。
ー 夜間工事における、作業終盤の現場はどのような状況ですか。
工程に遅れが生じていると、どうしても勝負をかけるタイミングが必要になります。そんなとき、朝日が昇り始めたら、時間内に終えられるかという焦りが出てきます。一方で、計画通り工事が終わった時は、すごく気持ちよく朝を迎えられます。工事の運び次第で、終業時に迎える朝が変わってきますね。
ー 瀧本さん自身は日勤の経験もあるのですか。
はい、あります。むしろ、夜間工事の経験のほうが少ないですね。10年ほど働く中で初めてなので、少し緊張感があります。
ー 昼間工事のスケジュールはどういったものですか。
朝8時から夕方5時の間が作業時間です。朝礼から現場の朝は始まります。朝礼ではまずラジオ体操を行い、その後作業の流れや危ないポイントを職人の方たちと共有して確認します。現場の雰囲気を引き締める意味もあり、朝礼はとても大事ですね。朝礼が終わると、休憩を取りつつそれぞれの持ち場の作業を進めていくというような流れになります。
ー 朝礼の際に意識していることはありますか。
その日ごとに工事のポイントはたくさんあるため、要点を絞って指示することを意識しています。多くのことを喋りすぎて適切に情報が共有されない事態を避けなければなりません。危険な工程もあるので、そういった伝達は安全にかかわる極めて重要なことですね。
ー 現場所長という立場として大切にしていることはありますか。
個人的に、現場の雰囲気は所長の力量やマネジメントの仕方次第でガラっと変わると思っています。そのため、これまでの経験から吸収したことを活かしつつ、オリジナリティのあるマネジメントをすることを大切にしています。
ー オリジナリティというのは具体的にはどういうことでしょうか。
コミュニケーションを大切にすることが自分のオリジナリティにつながることだと思っています。やっぱり現場監督というのは人を動かす立場なので、コミュニケーションを取ることはとても大事なことです。私は、図面を描くだけでなく、3Dモデルを利用したりして、わかりやすく明確に指示することを心がけています。そうした上で、お互いが遠慮せずに意見を出し合える雰囲気を作り、より良い形で作業に挑めるよう努力していますね。それらが上手く噛み合うと、メリハリのある面白い現場にできると思います。
ー お話を聞いていて、雰囲気作りの重要性をとても感じました。マネジメントする立場としての今後の展望があれば、ぜひお聞かせください。
そうですね、先ほど話したような現場内のマネジメント以外にも、近隣の方々の負担をいかに減らすかといったことに注力しています。そういった部分や原価面も含めて全体的なマネジメントをできるのが理想の所長だと思っているので、そこを目指していきたいです。
ー 瀧本さんのお仕事の最大の魅力はなんでしょうか。
自分が細かいことから全体のことまで計画し指示を出して、職人さんたちとチームになって仕事をするっていうところに、責任とやりがいを伴うすごく魅力ある仕事だなと思っています。