奈良県の有名な観光名所で、世界遺産に登録されている法隆寺。皆さんは、法隆寺がなぜすごいのかをご存知ですか?
今回は、世界遺産のすごさや昔と今の建築技術の違いについての素朴な疑問を、建築会社の方に直接聞いてきちゃいました!身近な建物の今まで見えなかった面白さが発見できるかも!?

法隆寺は建築的に見てどこがすごいの?どこがすごいの?

飯田
私は奈良県出身で法隆寺が好きなのですが、建築的に見て法隆寺はどういったところがすごいのでしょうか?

工藤
法隆寺の五重塔は、高くなるにしたがって自然と細くなるデザインで、シルエットが綺麗な二等辺三角形になっているので、そういった見た目の美しさは魅力の一つかなと思います。

松尾
法隆寺は 1400年以上現存していますが、それは建物がいいからというだけでなく、ちゃんと管理されている、つまり愛されているからだということもすごいと思います。


木材は劣化が激しいと思うのですが、どうして木造の法隆寺は丈夫に受け継がれたのでしょうか?

工藤
法隆寺にはヒノキが使われていますが、ヒノキは木の王様と言われるぐらい曲げに強い素材なんです。また、一般的に木材は少しずつ強度が増していくという性質があり、 1000年経ってもあまり強度が変わらないので、丈夫に保っているのだと思います。

松尾
また木造だと、柱が腐っても腐った部分だけ新しいものに取り替えることができるので、代々受け継いでいけたのだと思います。

教会をモスクに!?海外のびっくり世界遺産海外のびっくり世界遺産

飯田
他にすごいと思う日本の建物はありますか?

工藤
鳥取県にある投入堂です。名前の通り崖にポンッと投げ入れられたかのように崖っぷちのところに建っていて、なぜあんなところに建っているのかいまだに解明されていないので、すごく興味があります。

飯田
確かにとても不思議な立地ですね ...。海外の世界遺産ですごいと思う建物はありますか?

松尾
トルコのアヤソフィアというビザンチン様式の建物です。もともとキリスト教の教会だったのですが、オスマン帝国の侵略によってイスラム教のモスクに変えることになったんです。その際、普通だったら取り壊すと思いますが、その教会は建築物としての評価がとても高かったので、建物をそのまま使ったんです。その話を知って、建築の力を感じました。


建築に携わるお仕事をしていると、旅行をしていても建物の構造などは気になりますか?

工藤
学生の時から建物を見るのがベースの旅行が多かったですね。「この建物が見たいからここに行こう」みたいな感じでした。

現在にも受け継がれている昔の技術と最新技術昔の技術と最新技術

飯田
昔の建築物に使われている技術のなかで、現在に応用されている技術はありますか?

松尾
法隆寺の五重塔の真ん中に心柱という柱があります。建物が揺れると、心柱は反対方向に動いて自立を保とうとするため、地震の揺れを軽減します。それが五重塔が地震で倒れない理由の一つだと言われていて、その心柱の技術は、2012年に建設された東京スカイツリーに使用されています。


そんな遥か昔から免震技術が存在していたんですね!では反対に、最新の技術にはどのようなものがありますか?

工藤
水の浮力を利用して建物を支え、建物の揺れを水によって吸収するという技術が開発されています。断水した場合は、トイレの水として使用することもできます。古い建物の補強方法でいうと、建物を一度地面から切り離して免震層を入れるというものもあります。

松尾
耐火技術でいうと、耐火性能を備えた木材が開発されていて、木造のビルがどんどん増えています。木材は鉄骨に比べて温室効果ガスが削減できて環境にも優しいので、木造建築が再び注目を集めています。

都市開発と景観保護、どちらが大切?

飯田
最近、都市開発のために世界遺産の周りに新しいビルなどが建てられ、景観が損なわれるという問題もありますが、都市開発と景観保護の両立についてどうお考えになりますか?

工藤
新たな建物の建設と同じくらい、景観を守ることも大切だと思っています。京都は建物の高さに制約があったり、電柱がほとんどなかったりと昔の景観を守ることをとても大切にしていて、私達も京都のようにその土地の風景を残していこうと思っています。

松尾
集客や利益だけを見込んで建設するのではなく、地域の特性や近隣の方への配慮など、地域との連携も大切だと思います。


村本建設さんとして、どのようなまちづくりを目指していますか?

工藤
その街の雰囲気に合い、なおかつ街の人に愛されて長年使っていただけるような建物を建てたいですね。

松尾
工事の段階を含めて、地域の人に「良い建物(まちづくり)だったな」と思っていただけるように建設に取り組まなければいけないと思います。

飯田
様々なお話を聞けて建築への興味が一層深まりました。村本建設の工藤様と松尾様、本当にありがとうございました!