2021年4月にオープンしたムラモトドローンテラス。ドローンの常設屋内型トレーニング兼アミューズメント施設としては西日本最大級の規模を誇る。建設会社である村本建設が導入したということで、その誕生背景や近年注目を浴びるドローンの現状について伺った。
ムラモトドローンテラスとは?
ドローン専用の屋内飛行場を中核とした施設で、主にドローンの操縦訓練や操縦技能認証取得を目指す講習プログラムを開講しています。地下鉄御堂筋線沿線で大阪の都心部から近く、車でのアクセスも良好な屋内練習施設です。1階は空撮機と呼ばれる比較的大きなドローンの操縦を練習するトレーニングスペースです。一番広いコートで高さが8mあり、普通の空撮用のドローンの訓練であれば十分な高さとなっています。2階は小さなサイズのマイクロドローンを飛ばすスペースで、大小のドローンが干渉しない2段階構造の珍しい施設になっています。
活躍の場を広げるドローン
既に土木工事現場では測量に用いるデータの収集等にドローンを使う機会も増えています。人力だった部分をドローンなどのロボット機器を使うことにより、作業の効率化やデータの精度を均一にすることが可能になります。また、もともとは飛行機やヘリコプターを使ってデータの収集や工事進捗状況の記録をしていたのですが、それもドローンでできるようになりました。多額の費用をかけなくても現場を飛べてしまえるんです。今後のドローンの使い道として、運搬や農薬散布、種まき、赤外線カメラによる点検などが考えられます。
人材育成の重要性
ドローンを扱う機会は増えてきており、これからドローンを使っていく人材の育成が重要になってきます。ドローンを扱う上で法規制関係はどうしても避けられないポイントになってきます。2015年にはドローン規制法ができ、それ以降簡単にドローンを飛ばせなくなりました。残念ながら今の日本のドローン規制を見ると、ドローンを危険因子として「気軽に飛ばしてくれるな」というのが本音なんです。例外として、ドローンが飛ぶことによるリスクが小さい所で定められた飛ばし方での飛行であったり、許可を受けた飛行に限定されています。そのため、知らないうちに法律に抵触したり、ドローンを知らない発注者が飛行委託先に対して無理な命令や要望をしてしまったりする可能性があります。ドローンを使用する場合は、プロジェクトに関わる全ての人が、ドローンについて熟知しておく必要があります。
スポーツとしてのドローン
ドローンはスポーツ的な要素もあって、eスポーツに近いと思います。2年くらい前にドローンの国際レースがあったのですが、優勝したのがイギリスの高校2年生で、その優勝賞金は2億円。海外では多くのレースイベントにスポンサーがついていて、一興行としてドローンレースがあります。海外では日本のようなレース用ドローン特有の規制はないので、全世界で見ると競技人口は増えています。テレビでも放映があって、将来オリンピック競技にeスポーツが加わった時には、ドローンレースが競技の1つになるかもしれません。
※レースではマイクロドローンが使われる。
村本建設とドローン
ドローンというアイテムを通じて村本建設が社会貢献をしたいという想いからムラモトドローンテラスは生まれました。また、若い人たちにドローンをきっかけに建設業に興味を持ってもらいたい、という願いも込められています。 村本建設には事業企画部という部門があります。この部門では従来の建設業の枠にとらわれず、柔軟かつ新しい発想で事業を立ち上げています。

このアイデアを実現できたのは、この会社の風通しのよさのおかげかも知れません。
村本建設の社員もこの施設で研修してドローンに触れ、資格を取ります。ドローンという先進技術を取り入れるだけでなく、普及に前向きなこともこの会社の特長のひとつです。
ドローンというアイテムを通して村本建設の別の側面を見ていただければ嬉しいです。
ドローンが目指す先
東京オリンピックの開会式でドローンライトショーのパフォーマンスが行われたのですが、その影響からか小学校の自由研究にドローンを選ばれる方が増えました。
今はまだドローンの活用が難しかったりドローンとの親和性が乏しかったりする分野であっても、これから新しいドローンが登場し、新しい使い方が生み出されていくと考えています。
ドローンという名前だけはよく知られていますが、実際に見たり触ったりしたことはない方が結構多いんです。ドローンを触ったことがあるという人が増えていくと、我々としては嬉しいです。
取材にご協力いただいた方々
左から、インストラクター:原田真宮子さん、マネージャー:西島治彦さん、
関西大学:西原さん、林田さん、館長:藤永優さん

MURAMOTO DRONE TERRACE
〒591-8025
大阪府堺市北区長曽根町1206-4
TEL 072-275-6235